お疲れさまです。アリスのCookBookにようこそ。今回は,レイヤーのブレンドモードについてお話していきます。Affinity Photo 2.5 には 32 種類のブレンドモードがありますが,それぞれの説明ではなく,ブレンドモードとは何なのかを見ていきます。ブレンドモードを押さえておくと,編集や合成など表現の幅が広がるので,ぜひ最後まで見ていってくださいね。
そもそもブレンドモードとは
ブレンドモードとは,複数のレイヤーのブレンドの加減を設定する機能です。全部で 32 種類のブレンドモードがあり,ブレンドの加減は 32 種類のブレンドモードで異なります。デフォルトでは [標準] となっていますが,こちらは何もしないで上のレイヤーがそのまま表示されます。
イメージがつきやすいように,式で考えてみましょう。ブレンドモードを式で表すと, [下のレイヤー] + [上のレイヤー] = [表示される画像]となります。


ブレンドモードは,写真だけでなく文字やイラストにかけることができますよ。
ブレンドモードのグループ分け
Affinity Photo 2.5 には,全部で 32 種類のブレンドモードがあります。これらのブレンドモードを6つのグループに分けました。便宜上 [消去] と [標準] はその他のグループに分類しています(レイヤーグループを作成すると,パススルーというブレンドモードも追加されますがここでは割愛します)。
1.暗くなる | 2.明るくなる | 3.コントラスト | 4.比較する | 5.色の三属性 | 6.その他 |
---|---|---|---|---|---|
暗くする | 明るくする | オーバーレイ | 差の絶対値 | 色相 | 平均 |
乗算 | スクリーン | ソフトライト | 除外 | 彩度 | 反転 |
焼き込みカラー | 覆い焼きカラー | ハードライト | 型抜き | カラー | 反射 |
焼き込み(リニア) | 追加 | ビビッドライト | 除算 | 輝度 | 光彩 |
色を暗くする | 色を明るくする | リニアライト | コントラスト反転 | ||
ピンライト | 消去 | ||||
ハードミックス | 標準 |
- 暗くなるグループ
暗くする,乗算,焼き込みカラー,焼き込み(リニア),色を暗くするの 5つのブレンドモードは,レイヤーをブレンドすることで,元の画像よりも暗くなります。 - 明るくなるグループ
明るくする,スクリーン,覆い焼きカラー,追加,色を明るくするの 5つのブレンドモードは,レイヤーをブレンドすることで,元の画像よりも明るくなります。 - コントラストに影響するグループ
オーバーレイ,ソフトライト,ハードライト,ビビッドライト,ピンライト,ハードミックの 5つのブレンドモードは,元の画像よりもコントラストが強調されます(ブレンドする画像により例外はあります)。 - 上下のレイヤーを比較するグループ
差の絶対値,除外,型抜き,除算の 4つのブレンドモードは,上下のレイヤーを比較した結果が表示されます。くせの強い結果になるので,いまいち使いどころがわからない人も多いかもしれません。最終的な画像というよりも,類似した2枚の写真を比較して異なる箇所を探したり,単色の塗りつぶしレイヤーと写真を比較して近い色を探したりするときに便利なブレンドモードです。 - 色の三属性に影響するグループ
色相,彩度,カラー,輝度の 4つのブレンドモードは,色の三属性( HLS 色空間 )に影響します。色は色相・彩度・輝度の 3つの性質で決まります。このグループのブレンドモードは,これらの性質のいずれかをブレンドします。



Affinity Photo には,たくさんのブレンドモードがあるのね。
消去と標準
他のブレンドモードとは少し性質がことなりますが,消去や標準もブレンドモードの 1つです。頭の片隅においておくと,なにかの手助けになるかもしれません。
- 消去
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消去はレイヤーの色を合成するのでなく,上のレイヤー(ブレンドモードを消去に設定したレイヤー)が透明になり,下のレイヤーと重ねっている部分が表示されなくなります。
消去の例 - 標準
-
標準はデフォルトで選択されているブレンドモードです。こちらも上のレイヤーと下のレイヤーを合成するのではなく,上のレイヤーが下のレイヤーを覆い隠すように表示します。
標準の例



サンプル画像の白い部分は透明だと思って見てね!
ブレンドモードの使い方
それでは,ブレンドモードの使い方について解説しますね。まず,ブレンドモードを使うときに重要なことは,上から下に向かって効果がかかること。そして,レイヤーが3つ以上あるときは,その状況によって効果のかかり具合が異なってくることです。
ブレンドモードは上から下のレイヤーに適用される
ブレンドモードは上から下にかかるところを見てみましょう。ブレンドモードは上から下にかかるので,ブレンドモードを使うときは上のレイヤーにかけます。
- デフォルトのブレンドモードは [標準]
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デフォルトのブレンドモードは [標準] となっています。上下のレイヤーが完全に重なっている場合は,上のレイヤーのみが表示されて下のレイヤーの画像は見ることができません。
- 上のレイヤーのブレンドモードを変更
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実際にブレンドモードをかけてみましょう。上のレイヤーを選択して,ブレンドモードを [標準] から [ハードライト] に変更してみます。そうすると,上下のレイヤーがブレンドされて,隠れていた下のレイヤーが見えてきました。
- 下のレイヤーのブレンドモードを変更しても……
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逆に下のレイヤーにブレンドモードをかけると,どうなるでしょうか。上のレイヤーのブレンドモードを[標準]に戻して,下のレイヤーのブレンドモードを [標準] から [ハードライト] に変更してみます。ブレンドモードは上から下に向かって効果が適用されるため,下のレイヤーに設定したブレンドモードの効果は反映されないことがわかります。
レイヤーが 3つ以上ある場合は?
続きまして,レイヤーが 3つ以上あるケースを見てみましょう。
- 1番上のレイヤーのみにブレンドモードを適用した場合
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先ほどのサンプルの上に「MERRY CHRISTMAS」と書かれた写真を配置しました。並び順は以下のような感じです。
最初は,1番上のレイヤーのブレンドモードを [スクリーン] にして,それ以外のレイヤーは [標準] のままとした場合です。1番上のレイヤーと真ん中のレイヤーは合成されましたが,一番下のレイヤーは合成されていませんね。ブレンドモードの適用は,真ん中のレイヤーでストップすることがわかります。
- 1番上と真ん中のレイヤーにブレンドモードを適用した場合
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続きまして,真ん中のレイヤーのブレンドモードを [標準] から [ハードライト] に変更しましょう。すると,今度は1番上から1番下まで全ての画像が合成されたのがわかります。
- 文字やイラストのレイヤーにブレンドモードを適用した場合
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今度は,応用編。イラストのレイヤーと,文字のレイヤーがそれぞれ干渉しないように,背景写真の上に配置します。
1番上に配置したイラストのレイヤーのブレンドモードを変更するとどうでしょうか。背景とイラストは合成されましたが,あいだに配置された文字には影響がないことがわかります。
では,イラストのブレンドモードを元にもどして,文字のブレンドを変更してみます。すると,背景と文字が合成されましたが,イラストには影響がありません。何もない透明な部分は他のレイヤーには影響がないことがわかりますね。
- イラストを写真に差し替えて,ブレンドモードを適用した場合
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さらに応用編。今日のお話はもう少しで終わるので,ちょっとだけ辛抱してくださいね。文字のブレンドモードを [標準] に戻して,イラストを写真に置き換えます。イメージは以下のような感じです。
1番上に配置した写真のブレンドモードを [ハードライト] に変更します。すると,1番上に配置した写真とあいだの文字,1番上に配置した写真と背景の写真はそれぞれ合成されていますが,文字の部分は背景と合成されていません。
アリスブレンドモードの効果が,文字の部分でストップしていることがわかりますね!
まとめ
この記事では,Affinity Photo 2.5 におけるレイヤーのブレンドモードについてお話してきました。「ブレンドモードの使い方がわかったよ!」って方がいたら嬉しいです。それぞれのブレンドモードについては,別の記事でお話ししますね。
- Affinity Photo 2.5 には 32種類のブレンドモードがあり,それぞれでブレンドの仕方が異なります。
- ブレンドモードは上のレイヤーから下のレイヤーに向かって適用されます。
- 下のレイヤーにブレンドモードを適用しても,上にあるレイヤーには効果が適用されません。
- 3つ以上のレイヤーを合成するときは,状況によりブレンドのかかり具合が変わってきます。



それでは,みなさま!ハッピーホリデー♪